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選ばれし企業への報酬

 株式市況が様々な要因により下落傾向を強めつつある中、現在の市場トレンドを歓迎する声は少ない様に思われますが、その内訳を見ると決して全てが悪い結果では無い様です。

 4月より導入された新市場制度の下、プライム市場を選択し「上場維持基準の適合に向けた計画書」を提出した、295社の株価に付き株価推移比較を業種分類別に行いました。


 上場市場の選択期限が令和3年12月30日、同選択結果が翌年1月11日に公表された事の影響を見る為、令和4年1月末と5月17日現在の各社株価及び業種分類毎の時価総額の期間の変化率を取り、業種分類毎に平均株価変化(以下図中の②)と業種時価総額変化(③)の差分(④)により相対変化率を計算しました。

 また業種時価総額変化に対し正の相対株価変化を「勝ち」と定義し、「勝ち」「負け」により企業を区分の上(⑤⑥)、業種時価総額に対する相対株価変化率(⑦⑧)と、両者の格差(⑨)を求めました。

(295社中18社は5月17日時点で決算発表が完了していませんが、大半の企業株価で直近期決算が反映されたと想定します。)


 結果は対象企業の多くにとって好ましい物になりました。今年1月以降の相場推移から、大半の業種別時価総額は下落傾向にありましたが、分析対象企業は平均して正の株価変化を記録しており、分析期間における相対変化率は295社合計で1260%(平均4.37%/社)となりました。また、株価変化が業種別時価総額変化を上回った企業は175社、業種別時価総額に対する相対変化率は平均14.1%となっています。

 一方で業種別時価総額の変化率を下回る株価変化率となった企業が120社あり、これら企業の相対変化率は平均-10.1%となりました。つまり、分析対象企業を「勝ち」「負け」で分けると、前者と後者の間には、平均24.3%の株価変化率の差が生じた事になります。


 この分析は非常に多括りであり、実際どの様な要因により株価変化が生じたかについて、個別に確認の上で評価を行うべきではありますが、わずか3ヶ月強の間に、しかも全体的に株価下落圧力が掛かる中にも関わらず、一部の企業は市場評価の改善を実現した事、また市場評価の格差がこれほど大きな水準となった事は、注目に値するのでは無いでしょうか。


図1:新市場区分選択後の業種別相対株価パフォーマンス


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