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設備投資心理の冷え込みか、手元需要の反映か

既にコロナウィルス感染の影響に着目した産業業種を取り上げましたが、今後の景気動向に大きな影響がある設備投資に関し、製造業の動向を工作機械統計により確認します。工作機械産業における顧客産業別内訳は、昨年の統計によれば内需の69%が一般機械と自動車産業に依存している様です。また顧客企業が発注判断の際には、足下業績を考慮するでしょうから、工作機械受注は顧客企業の業績見通しが反映されると考えられます。




顧客側産業の業績代替変数としての輸出額と、工作機械の受注統計額を時系列に見ますと、概ね傾向としては期待した通りになっている様です。2018年末に輸出が落ち込んで以来、受注伸び率も低迷しています。受注は外需と内需の双方がほぼ並行し推移していますので、顧客側産業の輸出額と国内出荷の下落が並行し発生した物と思われます。

このグラフで一点気になる事は、受注額の下落幅が輸出の下落幅より大きい事です。これが単なる顧客側の先行き懸念による発注抑制が原因の受注下振れであれば、受注額の下落幅は輸出額の下落幅に収斂してゆくと思われます。あるいは、顧客側産業の製品が出荷まで時間を要す製品が多い場合は出荷額の予見性が高く、受注額の下落は顧客側企業の手元受注量の減少を反映している可能性も考えられます。

(データ出所:工作機械統計・(一社)日本工作機械工業会、財務省貿易統計・財務省)

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