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SMBC日興証券の信頼回復に向けた取り組み

 SMBC日興証券(未上場)の連結決算が赤字に転落した旨の報道がありました。事業環境による逆風に加え、相場操縦事件の影響を受けた事が要因と説明されている様です。同事件に関しては、既に原因分析と再発防止策から成る、調査委員会による調査報告書の公表と、金融庁による行政処分に基づく、再発防止策を含む報告書の提出が行われました。その中ではリスク管理、法令遵守、売買審査、顧客情報など内部管理強化や、自己勘定取引の運営見直しといった、広範な改善取り組みを行うとしています。こうした取り組みの進展と共に、顧客の信頼回復を通じて、同社業績が回復する事を期待したいと思います。


 企業継続性維持の為、管理強化によるリスク再発防止は合理的である一方、「管理体制の不備による現場の暴走」という整理が本質であったかは疑問です。事件の事実は否定出来ませんが、関係者は違法行為に伴うキャリア上のリスクと社会的制裁について熟知し得る経歴と立場にありました。違反行為に合理性を与える事情が無い限り、その様な行為に及ばないだけの分別を当然有したはずです。


 同社は大手金融グループの証券子会社として、野村證券、大和証券といった専業企業、及びみずほ証券や三菱UFJ証券といった銀行系企業と競合する立場にあります。所属金融グループによる有形無形の支援は大きな競争力になりますが、同時に大きな業績期待が存在した事が想像されます。一方事業環境は過去7年間減収減益傾向にあり、手数料収入の伸びを上回る販売費及び一般管理費の増加と、トレーディング損益の減少により利益率が低下した様です。(グラフ左軸は収益と費用の課目(括弧内は収益に対する比率)データ出所:日本証券業協会



 上記の事業環境と競合状況の中、外部採用人材により編成されたチームが、周囲の期待と相応の報酬・インセンティブ制度の下、社内予算、ひいては親会社から課せられた業績目標の達成に邁進した事は想像に難くありません。業績達成と報酬期待の「圧力」が法令遵守や職業倫理の意識、及び内部統制を「押し流した」と仮定すると、講ずるべき対策は管理による抑止力強化に加え、目標設定、事業戦略、報酬制度などの見直しによる「圧力の抑制」も必要となりそうです。

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